氷の宝石

 十勝川の河口に位置する大津海岸。江戸時代末期から明治の開拓初期、内陸に道路がなかった時代、大津は漁港であるとともに、交通の要所でもありました。大津港に着いた後、夢と希望と不安を抱いて、開拓者たちは十勝川を舟で進み、帯広方面を目指したのです。

 豊頃町大津では、1月から2月にかけて、十勝川で出来た氷が、太平洋に流れ出して作られるジュエリーアイスが見られます。波に洗われて消えていく一時の宝石。開拓者が描いた、美しくも儚(はかな)い夢のような輝きが、心に染みます。

2022年03月12日